大切な作物が虫に食害されているみたいだけれど、幼虫の姿が見つからない。夜の間に作物が食い荒らされて困っていませんか?
ヨトウムシは夜行性の害虫で、見つけるのが難しいため被害が拡大しがちです。本記事では、無農薬の手法をメインにヨトウムシの効果的な駆除法を紹介します。
コーヒーかすや米ぬかペットボトルトラップ、木酢液など自然由来のアイテムを活用して、効果的な対策を取りましょう。ヨトウムシ対策で悩んでいる方に、すぐに試せる駆除法を数多く紹介していますので、ぜひご覧ください!
作物の葉が大胆に食害されていたらヨトウムシの被害かも
ヨトウムシの生態、特徴
ヨトウムシはいくつかの種類の蛾の幼虫の総称で、その名の通り夜間に活動します。主にはヨトウガ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウの幼虫を指します。春から秋にかけて、葉や茎、果実などを食害します。成虫は蛾ですが、特に被害をもたらすのは幼虫の段階です。
幼虫は初めは小さく葉に多発して表面をかじりますが、成長するにつれて食害が広がり、老齢幼虫になると非常に食欲旺盛になり大きな穴を開けたり葉全体を食べ尽くしたりします。
特徴的なのは、日中は土や枯葉の下に潜んで活動を控えるため夜間に被害が多いという点で、昼間には見つけにくいのが厄介な特徴です。体の色は若齢幼虫は緑、老齢幼虫は茶色で、カモフラージュのように周囲の土や植物に溶け込むことがあります。
成虫は葉に一回で数十から数百の卵を産み、孵化した幼虫が葉を食害して土の中でサナギになります。秋に成虫に春夏のサナギは秋に成虫になり、秋のサナギは越冬して春に成虫になりまた産卵を行います。
【画像あり】ヨトウムシの幼虫、サナギの見た目は?
ヨトウムシは複数の蛾の幼虫の総称です。そのため、種類によって多少の見た目の差はあるものの、一般的に生まれてすぐの幼虫は緑色(若齢幼虫)、ある程度成長した幼虫は茶色(老齢幼虫)と言われています。
また、サナギは土の中を掘り起こすと見つかることが多く、やや暗っぽい赤色をしていることが多いです。
以下ヨトウムシの幼虫、サナギの一例の画像ですので、実物を見てみたい方はクリックして確認してください。
ヨトウムシの若齢幼虫
ヨトウムシの老齢幼虫
ヨトウムシのサナギ
幼虫は土の中に潜んでいる
ヨトウムシ対策を行う上で重要なポイントは、幼虫は昼間は土の中や作物の根元近くに隠れているということです。このため、日中は見つけにくく、作物の被害だけが目に付くことが多いです。若齢幼虫のうちは葉の裏に潜んでいることが多いですが、老齢幼虫になると土の中に隠れるようになります。
作物の周辺に害虫がいなくても、土を軽く耕すことで幼虫を表面に出すことができ、発見や駆除のチャンスが増えます。
【画像あり】食害近くにフンがあればヨトウムシかも
ヨトウムシの食害跡を見つけたら、その周辺にフンが落ちていないか確認してみてください。ヨトウムシのフンは黒や茶色の小さな粒状で、作物の周辺や葉の上に散らばっていることが多いです。このフンがあれば、ヨトウムシが近くに潜んでいる可能性が非常に高く、即座に対策を講じるべきサインです。
新鮮なフンを見つけた場合は幼虫が近くに潜んでいることが多いため、葉の裏や土の中をチェックしてみましょう。
被害はあるけど虫が見つからない…見つけ方は?
ヨトウムシは昼間はほとんど動かず隠れているため、見つけにくいことが多いです。そんな時には、夕方や夜間に懐中電灯を使って作物を確認するのがおすすめです。ヨトウムシは夜行性なので、暗くなると活発に活動を始めます。
また、葉や茎の裏側を重点的に調べてみましょう。特に食害の痕跡がある部分をしっかりチェックすると見つかることが多いです。
食害痕に近い土の中や、マルチシートの下に隠れて見つからないこともあります。新鮮なフンや新しい食害の近くには必ず幼虫が潜んでいますので、念入りにチェックするようにしましょう。
どんな野菜が被害に遭いやすい?
ヨトウムシが好んで食害する野菜としては、以下のようなものが代表的です。
- キャベツ
- レタス
- ほうれん草
- ブロッコリー
- トマト
- ナス
- ピーマン
これらの野菜はヨトウムシの被害に遭いやすく、特に幼苗期には大きなダメージを受けることがあります。葉が大きくて柔らかい野菜は特に狙われやすいため、定期的なチェックが必要です。また、果実にも食害が及ぶことがあるため、トマトやナスなどの時期には注意が必要です。
被害が発生しやすい時期は?
ヨトウムシの被害は春から初秋にかけて、特に梅雨明け後の夏場に急増します。この時期は夜間の温度が高く、湿度も高いことでヨトウムシが成長しやすくなるため、対策を強化する必要があります。
また、秋にも再度被害が増えることがありますので、収穫期までしっかり監視を続けることが重要です。8-10月頃は特に注意して作物の状態をチェックしておくとよいでしょう。
天敵はいるの?
ヨトウムシには自然の天敵が多く存在します。鳥類、カエル、カマキリ、ムカデなどがヨトウムシを捕食してくれます。これらの天敵を増やすことで、自然な形でヨトウムシの個体数を減らすことが可能です。
ただし、天敵を利用した駆除には時間がかかる上、ヨトウムシ被害を根絶することも難しいです。被害が大きい場合には、下で紹介する駆除法や防除法を試してみてください。
ヨトウムシの駆除法、防除対策
無農薬での駆除は捕殺が基本
無農薬でヨトウムシを駆除する最も確実な方法は、物理的に捕殺することです。ヨトウムシは夜行性なので夜間に作物を点検し、見つけたらその場で取り除きます。
夜に作業をするのは面倒に思えるかもしれませんが、幼虫を発見できる確率が高く、特に被害の大きい幼苗期には有効です。ヨトウムシは動きがそれほど速くないため、発見できれば比較的容易に駆除することができます。
土を耕して幼虫やサナギを捕殺
ヨトウムシの幼虫やサナギは地中に潜んでいるため、土を耕すことでそれらを地表に引き出し、捕殺することができます。
また、気温の低い冬季や作付け前に畑を深く耕すことで、ヨトウムシの幼虫や冬越しサナギを効果的に駆除することが可能です。この手法は、次のシーズンの被害を未然に防ぐ上でも非常に効果的です。
米ぬかペットボトルトラップの作り方
ヨトウムシをおびき寄せる手法として、好物の米ぬかを利用すると効果的です。ペットボトルを使ったトラップが簡単で非常に有効なので、無農薬で対策を検討している場合は取り入れてみましょう。
作り方
- ペットボトルの上部を切り取って中に米ぬかを入れる
- 地表と同じ高さになるように、作物の周辺の土に埋めて配置する。
- ヨトウムシが米ぬかに引き寄せられ、ボトル内に入ります。見つけ次第捕殺しましょう。
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非常に有効ですが、雨などで米ぬかがぬれてしまうと機能しなくなる可能性があります。雨対策をしたり、晴れ間が続く日を狙って設置しましょう。
酢を使う
酢は強い臭いを持つため、ヨトウムシに対して忌避効果を持ち寄せ付けにくくする効果があります。自然に優しい駆除法として家庭菜園でも手軽に実践できるのが魅力です。
水で数百倍に希釈し、作物の周囲や土に散布することで、ヨトウムシを遠ざけることが可能です。
ただし、酢は強い酸性であるため、過剰に使用すると作物や土壌にダメージを与える可能性があります。適量を守り、定期的に散布することで効果的な防除ができます。
木酢液を活用
木酢液は植物の防御力を高めるとともに、ヨトウムシを遠ざける効果があります。木酢液は炭焼きの際に発生する煙から得られる液体で、無農薬の防虫剤として広く利用されています。ヨトウムシにも効果があり、以下のように使用します。
- 木酢液を水で希釈(通常は500倍程度)して、スプレーボトルに入れます。
- 被害のある葉や茎にスプレーします。特に葉の裏側を重点的に散布すると効果的です。
- 週一回程度、定期的に散布するようにしましょう。
おすすめの木酢液
ヨトウムシの忌避効果があり定期的に散布することで防除が可能ですが、既に幼虫の食害が出ている場合は木酢液のみでの対策は難しいでしょう。まずは他の方法で捕殺を行い、再発防除のために使用すると効果的です。
木酢液は土壌の改良にも役立ち、植物の健康を保つ効果もあるため、一石二鳥の方法です。
草木灰を使う
草木灰もヨトウムシ対策に有効です。草木灰は草や枝を燃やして残るアルカリ性の灰で、ヨトウムシを遠ざける効果があります。作物の根元や周囲に草木灰を撒くことで、ヨトウムシが近づきにくくなり幼虫の被害を抑えることが可能です。
ただし、アルカリ性のため撒きすぎると土壌の酸度が変化する点と、化成肥料を同時に施すとガスが発生して植物に悪影響を与える可能性があるため注意して使用してください。
防虫ネットの使用
防虫ネットは物理的に作物を守り、ヨトウムシの成虫を遠ざけて産卵を防ぐことができます。すでに発生している幼虫やサナギを駆除した後に、被害の再発を防ぐのに非常に効果的です。
- 設置方法:アーチ支柱などで作物のまわりを囲んで骨組みを作り、上から防虫ネットをかぶせましょう。ネットの端を地面にしっかり固定し、裾に土をかぶせて隙間がないように設置することで、害虫の侵入を防ぎます。また、設置の際にすでに害虫が侵入していると、ネット内で繁殖することがあるため注意しましょう。
- ネットの定期的な点検:防虫ネットは長期間使用すると、風や日差しで劣化して破れや隙間ができることがあります。定期的にネットの状態を確認し、破損部分があればすぐに修理するか交換するようにしましょう。破損がある場合はテープ等で補修するようにしましょう。
おすすめの防虫ネット
防虫ネットは無農薬での害虫対策として非常に効果的な方法です。しかし、すでに被害が発生している場合や、幼虫が土の中に潜んでいる場合には他の方法で駆除する必要があるため注意しましょう。
コーヒーかすを活用
コーヒーかすを活用することでヨトウムシを防ぐことができるといわれています。コーヒーかす特有の香りをヨトウムシが嫌うため、害虫を遠ざける効果を持つとされます。
- 使い方:使い終わったコーヒーかすを乾燥させ、作物の周りに撒く。ヨトウムシを忌避し、食害を防ぐことができます。コーヒーかすは有機物であり、時間が経つと土壌改良の効果も期待できます。
- 注意点:コーヒーかすを大量に撒くと、土壌のpHが変化する可能性があります。適度な量を撒き、植物の成長に悪影響を与えないようにしましょう。また、カビが発生しないよう、湿気が多い環境では注意しましょう。忌避効果はそれほど高くないため、他の方法との併用がおすすめです。
被害が大きい場合には農薬も検討
無農薬での対策が難しい場合や、被害が広範囲に及んでいる場合は、農薬や殺虫剤を使用することも検討しましょう。
ヨトウムシは特に老齢幼虫になると食害の被害が大きく、作物が収穫できない状態になってしまうことも考えられます。被害の状況をみてやむを得ない場合は、適用のある薬剤の使用も考慮してみましょう。
まとめ
ヨトウムシの生態、特徴
- ヨトウムシは夜行性で、日中は土の中に潜む。
- 春から秋にかけて、葉や果実を食害する害虫。
- 成虫は蛾だが、被害をもたらすのは幼虫。
幼虫の発見方法
- 食害近くにフン(黒や茶色の粒状)がある場合は、幼虫が近くにいる可能性が高い。
- 夕方や夜間に懐中電灯で葉や茎の裏をチェック。
- 土を軽く耕すことで幼虫を発見しやすくなる。
好んで食害される野菜
- キャベツ、レタス、ほうれん草、ブロッコリー、トマト、ナス、ピーマンなどが被害に遭いやすい。
無農薬駆除法
- 捕殺:夜間に懐中電灯を使って直接捕まえるのが最も確実。
- 米ぬかペットボトルトラップ:ペットボトルに米ぬかを入れ、地面に埋めてヨトウムシをおびき寄せる。
- 木酢液:500倍に希釈し、被害のある葉や茎に散布。忌避効果がある。
- コーヒーかす:乾燥させたコーヒーかすを作物の周りに撒くと、忌避効果がある。
- 草木灰:根元や作物周囲に撒くとヨトウムシを遠ざける。
- 防虫ネット:害虫の侵入や産卵を防ぐために設置。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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